駆けるミドリ、蒸気を纏う。(2007)



2007 年 「かわさき臨海部デザインコンペ」 実施コンペティション 優秀賞 受賞作品

公募テーマ「川崎市千鳥( ちどり)・夜光( やこう) 地区における火力発電所の蒸気を連携各社で利用する省エネルギー事業(NEDOエネルギー使用合理化事業者支援事業)」により川崎市川崎区千鳥町に敷設される蒸気供給配管について、川崎臨海部のアメニティおよび魅力の向上に寄与する配管表層部のデザインまたは配管を活用したアイディアの募集。
火力発電所の発電に使用された蒸気を近隣工場で最利用する省エネルギー事業で設置される蒸気配管の実施デザインコンペ。
蒸気配管は膨張伸縮の関係上、上下にループしている形状である。
募集要項では配管にシートを貼ってその中でのグラフィックデザインが求められていた。しかし表面上のデザインでこの工業地帯のアメニティの向上ができるとは想像できなかったため、思い切って条件を乗り越えた提案を考えた。
蒸気配管を緑化パネルで覆い、ところどころに「窓」と「アーチ」を設けた。「窓」は鳥たちの水浴び場、「アーチ」は人々のベンチとして機能する。
そしてこの壁の最大の特徴は「蒸気」を発散することである。決められたスケジュールで、内部の蒸気供給管に設けられた弁が開放され、壁は霧に包まれたような様相を見せる。このことは植物に水分を与えるほかイベント性を兼ね備えることによって市民の関心を引き、結果この蒸気供給管の理解を深めてもらうきっかけとなる。

環境問題に人々が直面する中本当に必要なのは不安をあおる情報ではなく、この「ミドリの壁」のようなラディカルなアプローチである。
このプロジェクトが人々の地球の明日を考えるきっかけになれば幸いである。

流氷カフェ(2009)



2009 年 「第36 回 日新工業建築設計競技」 提案コンペティション 応募作品
第36 回の課題は「浜辺の棲処」。
浜辺に建築して、自然とどう共生することかが問われた。
北海道に住む身なので夏の浜辺ではなく流氷が押し寄せる厳寒の浜辺での建築の提案を考えた。カナダのアイスロードのように北海道でも流氷の季節には凍った水面上を馬橇が行き来し、そこはまさしく生活の場として活用されていたという。

しかし近年の温暖化の影響か流氷の量は減少しており、流氷はプランクトンを運ぶ役割も果たしているため漁獲への影響も懸念されている。

そこで氷原の上に流氷を積み上げてつくるカフェを提案した。覚悟をもった人間だけが辿りつけるカフェである。
流氷のきしむ音の中でコーヒーをすするとき人々は自然に対して何を思い馳せるだろうか。
氷が溶けたらその年の店仕舞いとなる。溶けて崩れるさまはどんなデータよりも人々の環境への関心を呼び起こす。
この建築は浜辺を棲処へ再び蘇らせるための小さな一歩である。

 

砂漠のガラスの温室。(2011)



2011 年 「第18 回 空間デザインコンペティション 提案部門」 提案コンペティション 応募作品
第18 回の課題は「サステイナブルな新世代のガラス空間」。
砂漠の砂がガラスの原料である珪砂を含むことから、砂漠の砂でガラスブロックを作り海水温室を建てることで砂漠の緑化を提案した。
建築材料が全て地産で賄うことができ、温室をつくることで砂漠で農作物が栽培可能になる。
また海水温室は作物に必要な量より水分を作ることが可能なので温室の周りに撒くことで緑化を図ることができる。
ガラスブロックの生成方法は砂を熱するという古代のガラスと同じ方法であり海水温室の仕組みは砂漠に棲む虫からヒントを得られたものだ。
ハイテクによって解析され、ローテクによって構築することがこれからの建築の方向の一つなのかも知れない。



コンセプト
緑化が求められる砂漠地帯にサステイナブルな海水温室の形を考えました。
砂漠にあるものは無尽蔵の砂と照りつける太陽光です。
この砂を原料に地場でガラスレンガをつくります。
ガラスレンガは自然界に存在する形にならって六角形の結晶の形とし、アフリカ等でも浸透しつつあるカタランヴォールト工法でシェル状の海水温室を建てます。
海水温室は海水をチューブに流して空気の温度・湿度を操作し、真水を得る事のできる温室です。
真水は温室内の作物が必要な水分量より少し余分に生成されるので、周辺に撒いて緑化を促すことができます。
ガラスレンガで温室を建てることで強烈な直射日光を和らげて作物を育てることができ、かつ海水温室の仕組みに沿うように空気を温めることができます。
温室の形はベンチュリ効果を促す形となっており、必要な空気の流速を保ちます。
ここでのサステイナビリティは建築の建て方にとどまらず、砂漠の緑化・食糧問題解決への一歩として人々の営みの中に組み込まれ、活かされ続けることを目指しています。
ガラスレンガのこの温室は砂漠の中で一握の雪のように光り輝き、砂漠に小さな潤いを与えます。



The giraffe sneers at it.(2008)



2008 年 「新建築住宅設計競技2008」 提案コンペティション 応募作品

私はここに「共生」を提案する。

田園都市における住宅ではしばしば周りに生息する動物とのトラブルが起きる。田畑を荒らされたり、住居への侵入、損壊、時には命の危険にさらされることもある。人間にとっては迷惑であるが、彼らにとっては自分たちのテリトリーに侵入してきたのはむしろ人間である。

自然界においてはそれぞれのテリトリーがレイヤーとして重なって構成されており、それらが混ざり合って生態系が出来ている。
その自然界のヒエラルキーに馴染まない形で生活しているのが唯一人間であり、それが従来の住宅の形でもある。
ここに提案される住宅は敷地に柵などを設けず、建物を地面から切り離すことにより「侵入可能な領域」をつくっている。
それは住宅を自然界のヒエラルキーに還元する操作であり、人間と動物双方の良好な関係を築く試みである。
かくして人間は祖先のように樹上の生活者に戻る。
それをキリンは嘲笑する。
「なんだ、結局元通りじゃないか」と。

プランは9の公約数である3メートルグリッドで計画した。各ユニットは高さをずらすことにより、採光やプライバシーの確保を試みている。
地上から住宅は6メートル以上持ち上がっており、これはキリンが生活できる高さである。
住宅は階段室のコアと木々によって支えられ、ツリーハウスの様相を呈している。外壁は溶岩質のパネルを使用しており、年々ツタが絡まっていく。
家々はプライベートなテラスとは別に、共有のテラスを持つ。これは住人同士、さらに動物たちとのコミュニケーションを深める場となっている。
この住宅はこれからの田園都市における住宅の試金石である。
環境問題に対峙している現在だからこそ、動物たちとの共生は命題であり、建築家はこれらを模索していかなければならないと思う。

空きビル再生計画(2009)

環境省へのアイディア提案。

不況により都心のビルであるにも関わらずオフィスの空室化が進むビル、まるごと空きビルとなって買い手もつかずに放置されているビルが全国で増加している。
オフィスとしての買い手を期待できない今、従来の改装などによる再生ではなく、立地を活かした用途の変更による再生を提案する。
まずビルの大半のフロアを「植物工場」として再生する。これに関しては建築基準法上でその用途が「工場」か「農地」かという問題でどちらにしても都心には建てられないとのことから伸び悩んでいるが、これを新たな用途「植物工場」として規制緩和し、都心への進出を促進する。
これによりアグリビジネスに取り組む企業を誘致しそれに関わる企業展開、雇用の増加を狙う。
植物工場で生産された野菜は近隣スーパー等に卸すことにより輸送コストと排出される二酸化炭素のカットになる。
消費者は完全に品質管理された野菜を安定した価格で購入することができる。
そしてそれに付け加えて提案するのは自転車通勤者の増加促進のための「バイク・ステーション」である。一部では実施されているがまだ普及していないこのサービス施設は、自転車の駐輪場、更衣室、シャワールームを用意した施設であり都心のサラリーマンの自転車通勤をサポートする施設である。
自転車通勤をしようとしても現状としては駐輪場の不足などでできない人も多いかと思う。そこでこういった施設を行政が支援することにより
自転車通勤者の増加、施設での雇用、新たな企業展開も期待する。

風力発電;
既存のビルの外壁をセットバックし、そこにビル風で発電できる風力発電装置を設ける。
船の帆のようなこの装置は風向きに反応して向きを変え、ビルに美観をもたらす。またセットバックした外壁は建材を再利用したもので作り、セットバックによって庇効果が生まれ、夏季の太陽光による冷房の負荷の軽減につながる。

植物工場;
装置による野菜、果物の栽培を行う。
栽培に使われる電力には太陽光、風力発電によるグリーン電力を積極的に使用する。
また生産のみならず、研究施設、人材育成のためのセミナールーム、一般向けの見学ルートなども設ける。企業にとってはモニタリングの場ともなる。

バイク・ステーション;
自転車通勤者のための屋内駐輪場、更衣室、ロッカー、クリーニングサービスなどが用意された施設。
併設されたカフェでは植物工場で生産された規格外の野菜を利用した野菜ジュースなどを提供する。
また植物工場が上階にあることから、農業に興味をもった人のための窓口を併設して農業従事者の育成、地方への派遣のあっせん業も考えられる。

 

 

恋の鼓動 / Pulse of love (2011)


2011 年 「北海道ガーデンショーコンペティション ”恋の庭”」 実施コンペティション 応募作品

北海道清水町の十勝千年の森にて2012 年に行われる北海道ガーデンショーのイベントとして森の中に小庭園を作成する作家8 人の選考コンペティション。
募集テーマは「恋の庭」。
要件としてイベント終了後撤去可能なもの、森の植生に影響を与えない工作物、植栽が望まれた。
提案したのは恋を象徴する「赤い糸」と「心臓の鼓動」をモチーフに森の中を駆け巡る一本の赤い帯で庭を形成すること。
この赤い帯は幅1000mm で地面に敷けばレッドカーペットのように人々を庭に誘導し、木の枝から枝に渡ればハンモックの役割も果たす。
両端から帯を辿って人々は出会い、帯が縦横無尽に木々を駆け巡ることで視線を樹木のディテールに惹きつける。
帯は植栽に使用される根巻ロールを使用することでコストを抑え、土に還る素材のためイベント終了後は千年の森の植樹作業に再利用される。
この恋の庭の思い出は千年の森の土の中に生き続けて、さらなる森の植生につながっていく。
Concept
Siteplan
Detail
After